中東に移る。ドバイもまだ交通の要所として有名だ。最適な場所はオマーン湾があるイランかオマーンだが、先にドバイがこの地域のハブとしてインフラを整備したので当面その地位は安泰だろう。ドバイの王様は賢いし実行力もある。バブルを弾けさせ資金難になるという失態もあったが、リー・クアンユー元首相と同等の天才であろう。
東アジアを見よう。もともと大きな港町だったのだが、地理的な理由ではなく、政治的に香港、マカオは中国への玄関口として交通の要所となり、結果大きく栄えたことを認めない人はいないだろう。
以上が交通の要所であることを発展に利用できた例であるが、以下は交通の要所であることが諍いの原因になった例である。
大西洋に移る。上の赤丸内のオレンジ色がイギリスで、下の赤丸がイギリス領であるフォークランド諸島である。ここも大西洋と太平洋を繋ぐ交通の要所で昔は戦略上に重要だったためイギリスが占領した。当然だが現在公立学校などイギリス本国と全く同じ行政サービスを行なっており、しかもイギリスの軍隊が駐留しており管理に膨大な金がかかっている。もしここがアルゼンチン領であったならこの島の管理費用は1/100-1/1000なはずである。金欠のイギリスとしては、もし石油が出ていなかったらこの島は単なる不良債権であり、アルゼンチンはただ待っていただけで返還されていたはずだ。現実的な問題とししてここまで離れた場所を直轄地として管理するのは膨大な金がかかり現代的な解とは言いがたい。地域住民にはその地域は自分で管理してもらい、貿易して互いに儲け、国の成長に従い自分で行政サービスの質を上げていくというのが現代的な手法であるそうだ。民族の多様性を尊重する現代の風潮とも合っているし、多様性それだけでも魅力的な観光資源になりうるが、石油がでるのでこのままイギリス領なのだろう。
もし基地が必要ならば、アメリカがやるように返還の条件として基地用地を政府に無償貸与させるというのが現実的なやり方だったはずだが、もうアルゼンチンとイギリスの間では無理な話だろう。
交通の要所でも栄えるためには人を養える都市になれるでなければいけない、のは言うまでもない。
紺碧の艦隊の世界では下図のようになっていて黄色には大国ができる。こうなると北海道は交通の要所となり栄えることはいうまでもない。
最後に黄色で示したこの国を見よう。外へ出るにはどこかの国の防衛範囲内に入る必要があるという意味で、この国にとって周りの国全部が交通の要所になっている。有事までいかない冷戦状態でも、そちらの側の航空、陸上、海上輸送路を全て失い兼ねないし、別の国に輸送路を確保してもらった場合には政治的にも経済的にもかなり高くつくはずだ。こういう地理的条件がある場合、私が指導者なら、友好的だった隣国に喧嘩をふっかけて意図的に敵国にするなど最も愚かな選択として一蹴するが、大丈夫なのだろうか。
北朝鮮が戦争するといっているが、戦争するときに自分が北朝鮮の指導者ならいつを選ぶだろうか。こういう時にはしたくない。
やるならこういうふうに相手が孤立している時だ。
なにやら北朝鮮が数十年かけてうまく隣国を誘導してきたような気がしてならない。
地図はhttp://kantan-net.main.jp/worldmap/とwikipediaから使用させていただいた。